改方10





 頭に覆いかぶさってきそうな日よけいらずのアロエ。このアロエの名前は結局のところ妹の真夏がつけてしまった。名前をつけることに並々ならぬ拘りがあると言わんばかりに。十年近くも放置していたというのに、どうして兄が名前を考えようとすると思いついてしまうのだろうか。


 しかもシロにしようと言った直後に。


「なあ昔、公園の鳩にもシロって名前つけてなかったか、おっさん。近所の黒猫も去年シロって呼んでた気がするんだけども、おっさん」


 聞いて、アロエロア。君は上から呼んでも下から呼んでもアロエロアなんだ。


「マジどうでもいい」


「俺の婆さん家の猫もシロでしたよ」


「高山の兄ちゃんも、どうでもいいから」


「担任の名前も犬飼シロですよ」


「いや、多分それはシロウさんだろう」


 最近の眺めと言ったら金髪小学生と岡っ引き高校生の畑仕事姿だね、アロエロア。畑の草を刈りながら水を撒き、薄っすらと小さな虹を生んでいる。


 畑でバイトを雇っているなんて学生時代に知っていれば少しは齧ってみたかったものだよ。そうすれば、なんやかんやで野菜を分けてもらい、ヒモジイ時代をアロエをしゃぶって凌ぐ事もなかったろうに。


「バイトじゃねえよ。この兄ちゃん、おっさんの客だろうが」


 仕事から帰ってきたら、最近はほとんどこの光景なのだけれど。後、帰り際によく大根やジャガイモなんかを律儀に渡している金髪小学生には雇い主としての自覚がないようだねえ。


「母ちゃんが今日はレタスが良いって朝に言ってたぞ」


「遠慮しろおおおお」


 金髪小学生、ホースを投げ出して捨て身で土の上にくずおれて嘆きを体現するとは、役者志望なのかい?もう少し表現を抑えないと、お笑いの方向になりかねないのではないかな、それでは。


 土のついた手で頭を抱えて首を振る金髪小学生は、もうツッコミを入れる言葉も気力も0らしい。今日もよく働いたようなので仕方ないだろう。


 高山くんは高山くんで、おまわりさんに注意を受けたという事で、改方の副長と面談して注意を受けて謹慎とまではいかないけれど仕事を減らされてしまったらしい。どうやら学業の方もおろそかになっているというのも含めた説教を受けたのだそうな。副長と会うような事件にたまたま居合わせたのは運が悪かったね、高山くん。


 しかし、それで修行のために畑仕事とは、なかなかチョイスが渋いねえ。学業の方が結局集中できていないのではなかろうかぁ。この不況の時代、改方も良いけれど少々心配なのだがねえ。


「なんか、このヤバイ雰囲気の時期に仕事が軽いってのが俺、申し訳ないです。最近は高校でも改方の事を悪く言う連中が増えてて、改方の奴らも辞めようかって奴が出てきてやがるんですよ。親が言ってたとか、教師がかかわるなって言ってきたりとかのせいで。大人なんて何も分かっちゃいねえのに」


 一度、そういう風潮が出てしまうと簡単には止まらないだろうし、完全に止める事も出来ないだろうね。


 動かなければ誰の目にも留まらない。けれど、動いて意識に入れば誰しもが多かれ少なかれ評価をくだす。そこに不備を感じれば存在すら煩わしいと思う者もいるだろう。その数が多くなるのもまた仕方ないさ。


 なにせ、改方はまだまだ出来たばかりで、これから皆で作っていこう。そう僕は思っているよ。一度は同じ志であった人が去っていってしまうのは哀しいけれどね。


「何、井原、葛城さんなんて?」


「俺を通訳に使うのはよせ」


 携帯を取り出して高山少年のメールアドレスにうつ。少々離れすぎているので直接見せ辛い。


『まあ、そのためにも高山くんには是非に改め方に残っていて欲しいと思っているよ』


 とね。


「え!お、俺ですか?」


 そう。


『君みたいな人材はやっぱりこれから必要だから、盛り返して担っていってくれる若者として期待しているよ。口で反論して争うよりも、弱い者を助けるっていう事を態度で示していってくれればいい。それこそが力になるのだから』


 文面を読んで、口を開けて、それから僕の顔を見て意気込んで身を乗り出した。


「は・・・はいっ!」


『そのためにも勉強はおろそかにしないように。給料が出るものではないんだから、就職はしっかりとしてもらうよ』


 一応釘を刺すとさっきの金髪少年のように地面にくずおれて「英語と物理と数学が」と呟く。君達はコンビでも組んで芸人になるつもりなのかな。


 金髪少年の方はすでに畑仕事の方に戻っている。


「俺の学校とか、原西の中学とかでは、改方は今でも人気だぞ」


 ん?ああ、ありがとう。子供達が味方というのも心強いね。でもまあ、大人に逆らうのが楽しい時期か。そういう意味では影響されにくいのかもしれないね。


 手を止めた金髪少年に顔をしかめて睨まれた。


「でも、おっさんはさあ」


 ん?なんだい、金髪少年。


 口を閉ざして、しばらく言葉を選んで考えている様子がうかがえて、それから金髪少年は顔をそらした。


「やっぱ、なんでもねぇ」


 そうかい?


 いつもの事ながら、サイレンの音が畑によく響いてくる。










 ココアのストローをくわえてすすりながら現場入りする。午後からはどちらかというとデスクワークも申し付けられる。現場の端で職場に入ってくる物品のコンピューター管理のチェックと、住所の間違い探し、機械のシステムチェックが主かなあ。人が足りない所によく回されてしまうので、工場で出来ない仕事がなくなってしまった。というより、なんで年々僕は何でも係り兼、通常現場業務が普通になっているのだろう。


 正直、僕だけ仕事量が多い、社長。


 残業になってプライベートに食い込んでくるのは困るので、コンピュータを現場の僕の担当箇所に引っ張ってもらえるように上司に長年頼んでいるのだけれど、経費や特別扱いという問題で叶うことがない。現場で動きながら、仕事の緩和してる隙に同時進行でコンピューター系の業務を進めたいのだけれど。


 なので勝手にコードだけ使っていないものを引っ張って、持ち運び用の持参したパソコンを繋いでみた。


 ふむ・・・よし。繋がった。さてと、今日こそは定時をチンで帰ってみせる!


「いい加減にしなさいよ!?」


 ・・・・・・・。


 怒鳴り声がベルトコンベアーのレーン向こうから耳に届く。返す声も聞こえ、女性同士。中本女史と大野女史が中心か。


 うーん、喧嘩・・・。


「今までは・・・・・」


「調子に乗るから迷惑を・・・・・」


「だったら、お前がやってみろ、この糞婆!!」


「ちょっと、お前なんて言わないでくれる!?」


 駄目だ、マジ切れっぽい、止めよう。


 パソコンを台座の下に保護して、向こうのレーンの方に棚をしりぞけて侵入する。同じようなタイミングで現場監督が中本女史の肩をつかむ。回りにも人が覗いて、何事かと。


「落ち着け、おい、仕事中だぞ、止めないか、中本。大野も一体、なんの騒ぎなんだ」


 それでも中本女史は腕をめいっぱい伸ばして大野女史を指差して、現場監督の太い腕でも噛み千切れそうに大きな口で訴えた。


「休日にも仕事帰りにも老体だろうが児童だろうが走り回って、金を貰ってるわけでも義務があるわけでもないのよ!治安の悪さから人を守ろうって身を削ってる人間よ。それを嘲笑うだけならいざ知らず、だれかれかまわず根も葉もない噂たてて不安をかきたてて面白がってるなんて黙れるか!!」


「止めろ!中本!!おい、村山も手伝え!」


 暴れる中本女史が一方的に二人がかりで腕を押さえつけられる。いや、もう一人が慌てて抑えに加わりに駆ける。何せ、中本女史の腕力は男に引けは取らない。


 噛み付かんばかりの中本女史の勢いに若干は身を引いた大野女史は腕を組んで鼻を鳴らして笑う。言わせないべきだ。


 それでもまだ、僕は距離が遠過ぎた。大野女史は口を開いて声を形にしてしまった。


「中本さん、貴方いつも自慢げにしていらっしゃったけれど、どうせ改方の一員なんでしょう。だから罰が悪くてそうやって逆切れするんだわ。そもそもご老人や子供まで使ってヒーローゴッコ。まったく、改方なんて底が知れてると思っていたのよ」


「大野おおお!!」


 大野女史と中本女史の間に体を挟んで、大野女史に手を向けてジェスチャーでこれ以上は止めて欲しいと仲裁を試みる。


 それに目をチラリと向けて、大野女史は眉を寄せ、口の端を吊り上げた。


「分かるわけないでしょ。喋れもしない子は出しゃばるんじゃないわよ。馬鹿みたいね」


「大野、仕事に戻れ。中本に話を聞いた後で君にも話を聞く」


「人の会話に勝手に入ってきたんですよ、吉田さん。あの人、何か精神的に病気でも持ってるんじゃないのかしら」


 大野女史はさっそうと歩き去る。中本女史が現場監督に腕を引っ張られていく。残された野次馬も持ち場の仕事が機能をストップさせているのに慌てて戻っていく。


 喉に手を当てる。


 傷つくような年頃はとうに過ぎた。










 GPSで場所を確認して、一番近い大人が子供の改方を回収するという事がまれにある。トラブルに首を突っ込まないようにと子供達には通報のみをするよう枷としていても、無鉄砲な子がいるもので、高山少年もそういう部類分けになったりするのだよ。改方を志すくらいだから、聞き分け良くルールも守る子がほとんどだから、特に大事になったりした事はないけれど、親が呼び出されたりして小さなトラブルになった事はあった。


 子供の改方は基本的に高校生以上が多い。親御さんの同意書を持ってこない場合には18歳まであお断りしていたりする。無用な不安や混乱を招きたくはないからね。保護者代理として迎えに行く許可も得ているというわけさ。それですむ内容であればね。


 そして休日に限れば今回、一番至近距離にいたのがよりによって僕だったりする。あんまり適さないのだよね、僕。ご存知、喋る事が出来ない大人だから。ザックに使えそうな木製板をいくつかより分けて抜きやすくしておく。後は携帯にいくつか文章をストックして、筆談用のホワイトボードを確認して。


 警察署を前に見上げた横で、見慣れた金髪が目についた。


「・・・・・・・・」


 ホワイトボードをしまって携帯をポケットに落し、笑顔で片手を向ける。


 君はなかなか素敵なタイミングで町をさまようのだね、金髪少年。今、超会いたかったという事に劇的に気がついたよ。


「うげえっ。なんだよ、キモ!おっさん、キモ!!」


 少々僕のために時間を割いてはくれないだろうか。


 金髪少年は顔を歪めて可愛くない顔をして警察署を見上げ、僕に目を戻し、うさんくさそうに後ずさりする。


「何か面倒くさそうな事をさせようとしている」


 そんな事は無いさ。


「嘘つけぇぇぇぇ」


 僕の寡黙で度量が際限なく広い叔母ならばだね『別に無理難題を実行しろって言われたわけじゃなければ、多少理解し難い話でも信じない意味も特に無い』と言ってだね。


 ジリジリとにじりよって、捕まえにかかる。










 ソファに座らせられた中学生の少年が、かたわらに現れた僕らを見上げて泣きそうな顔でホッとする。おまわりさんは眉を寄せてはいるが困り顔だ。


 話を聞くに、万引き高校生を発見して責め寄ったところ、逆に罪をなすりつけられて店の方に捕まってしまったらしい。店の方でも扱いに困り、巡回で立ち寄った警察に引き渡して至るという。まあ、こういう事を防ぐための子供用ルールなのだけれど、正義感から破ってしまったというわけなのね。


「親御さんを呼びたかったのが、代理で保護者として自警団人間が来ると聞いたのだが」


「このおっさんがそれ。障害者で喋れないんだ。俺は手話の通訳で連れてこられただけの一般人だから」


「障害者・・・」


 煮え湯を飲まされた顔で気後れしていなはる。そんなにビビらずとも、こちとら手話の出来ない人間なんて慣れているというもの、と声をかけるまでもなく通路で一人おまわりさんが立ち止まって口を丸くする。


「おお、葛城じゃないか。運転免許の更新か何かか?」


 おお。手を叩き合わせる。今日はどうやらラッキーデイのようだね、サツ友ではないか。


「なんだ!榎本くん、彼を知っているのか?」


「サツ友って、おっさん・・・」


 助かったといわんばかりに、おまわりさんがサツ友の榎本に飛びつきに行った。チェンジする気満々だな。榎本も中学の時からの付き合いで、心得たもので、苦笑いで頷いている。補導されてしまった運の悪い改方少年の肩に手を置く。


 やれやれ、思ったよりも早く済みそうで助かった。


「じゃあ俺、帰って良い?」


 待ちたまえよ、金髪少年。榎本は竹馬の友であると同時に手話は出来ないので逃がさんよ。


「では、こちらが対応に慣れているようなので担当を受け継がせてもらうよ。申し継ぎはしておいたので失礼する」


「今度、奢ってもらいますからねえ、湯川さん。っと、噂の改方さん、お待たせさん」


 ニヤニヤ笑っている榎本に、不安そうな改方少年は僕とおまわりさんを見比べる。ふーんと値踏みした榎本は指を小部屋に向ける。


「とりあえず、一応は軽く話を聞かしてもらおっかな。あっちで」


 改方少年が真っ青になっている。とりあえず、ジュースだけでも買ってやっていいかな?話が5分以上かかるのならば。そこな中学生くん、オレンジジュースは飲めるかね?


「ジュース買ってもいいかって聞いてる。後、兄ちゃんにオレンジジュース飲めるかって」


「え?え?」


「葛城のお金で買うならご自由に」


 まあ、2種類くらい買っておけば、どっちかは飲めるかな。自動販売機でオレンジとリンゴジュースを用意して奥の4人がけの小さい部屋に入る。ジュースを目の前に置いて、飲んでもいいよというジェスチャーをすれば、おずおずと中学生は手を伸ばす。残りを迷いなく金髪少年はつかんで飲んでいる。まあ、君の分だけどね。


 榎本は廊下にいるお姉さんを拝んでお茶を頼んでから、扉を閉めて椅子に座る。


「湯川さんの話でも万引きに間違われたので間違いないみたいだけど、盗みを目撃したらしいし、一応調書とらせてくれる?えーっと、何くんだったかな?」


 中学生が微かにホッとして僕を仰ぎ見る。


「そこのお兄さん、生まれた時からの音声障害者でね。代理保護者なんだって?なんでこういう、ややこしい案件でよりによって葛城が来るかなあ。俺がいたからいいようなものを、湯川さんとか困ってたじゃん」


 お仕事中にため口かよ。という細かい事はさておき、コミュニケーションが取れないわけじゃあるまいし問題はなかったさ。


「保険に俺の事、捕まえたくせに」


 ボソリと僕の横で呟く金髪少年の頭に手を乗せる。とりあえず、ここでは黙りやがりなさい。とにかく中学生の方に喋って貰わなくては帰れないからね。


 金髪少年は口を尖らせて矛先を変える。


「兄ちゃん、知ってることを言ったら帰れるみたいだから早く終わらそうぜ」


「はあ。ええ、俺、古賀栄太です。翼中の2年B組の」


「はいはい、翼ノ草中学ね。俺もそこの改方の葛城お兄さんも卒業生だよーん」


 金髪少年も4月から通うしね。


「私立行くとか思わねえの。いや、翼中だけど」


 この季節の受験生が毎日畑で遅くまで畑仕事してたら、結構ビックリするね。


「その万引きしてた高校生、翼中でも見かけた事がある卒業生なんです!名前知らねえけど、見た事があるし。で、前にも万引きくさいの見かけたから、コンビニ来てるの見て、隠れて張ってって!」


「あー、落ち着け?」


 金髪少年は僕の反対側にいる中学生が熱く語っているのを横目に、僕へ視線を上げる。


「おっさん、何のためにいんの?」


 はっはっは、もうちょっと面倒な話し合いや説明が必要かと思ったけれど、持つべきものは多分野に友達・・・。


 !?


 耳も体も揺らす衝撃。


「え!?」


「なんっ!?」


「ぎゃあああ!!」


 部屋の外でも悲鳴が上がる。


 榎本と顔を合わせる。机を叩いて立ち上がる榎本は扉へ向かう。僕はとっさに窓を見た。窓の外に格子が付いている。子供でも出れない。


 判断に迷う間に榎本が開いた扉の外で銃声が連続で鳴り響く。それも1つ、2つじゃない。砂埃が舞って部屋に入ってくる。誰かも咳き込みながら、僕は少年達を力任せに床に伏せさせる。迷うんじゃなかった。とっとと壊して逃がしておけば。


「上を押さえろ。全部の部屋で1人ずつ急所を外して撃ってこい」


 入口が突撃した車で潰されていた。床に血で塗れて倒れている人達がいる。2人を残して数人が奥へ銃を撃ちながら突っ込んでいく。残った1人は倒れている人達を見回して、もう1人が扉を開いているこちらに目を向けた。少年達を抑えている床近くからでも、唖然とした榎本ともう一人の目が合ったのが分かった。


 床を蹴った。


 身を低めたまま榎本の腰を押し倒し、痛みで叫んだ榎本の上を銃声が響く。榎本を部屋に引きずり込むと、弾が追いかけて扉の縁に当たる。扉にぶつかりながら銃をこちらに向けた男に体当たりをかまして扉を閉める。頼むから鍵を閉めて窓を壊して逃げてくれよ。


 力任せに背中を打ちつけた彼は白目を剥いて横に倒れる。銃をそれとなく崩れた棚の間に滑り込ませた。


「顔を出せ。改方、葛城春先。手を挙げてゆっくりとだ。さもなければ、こいつから順番に殺していく」


 体が隠れたカウンターの陰で、名指しに目を丸くした。1階に残っている男からはほんの一瞬しか僕の姿は見えなかったはずだ。それを、しかも名前を把握している。改方だともね。


 その上で、警察署に入り、部屋に入る前から見ていなければ分かるわけがない。


 手を挙げて立ち上がる。


 怪我人を踏みつけて銃を下に向け、もう片方を僕に向けている男は顔を引きつらせて笑っていた。


 みぞおちに強い衝撃で壁に叩きつけられる。次の瞬間、熱で吐き気が襲い、口とお腹に手を当ててしまう。前を見れば、ああ、見覚えのある。


「今回は邪魔をさせない。警察と改方には綺麗に消えてもらう。葛城、聖戦の壁となるお前には、早めに舞台から消えてもらおう」


 金髪少年達を誘拐したテロリストくん。


 足元から血の気が引いて脱力する。扉が開かれ、榎本が銃を構えて出てくる。震えているのが足元でも分かる。


「銃を捨ててもらおうか、政府の犬め」


 階段を下りて来たテロリストが1人榎本の頭に銃を突きつけていた。ゆっくりと銃がテロリストの手に奪われ、榎本の視線が僕に落ちる。



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